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昭和に連れていかれた少女2(完結)

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投稿日時
2016-11-05 18:54:52

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国家人民軍少将

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一歩足を踏み入れたとき、床板がたてたキシという音で始めて気がついた。木床の半鋼製車体、薄暗い車内灯。振り替えれば、外は自分の知っている景色ではなかった。高層ビルはなく、高くても十何階。木造の住宅。そして、蒸気機関車が牽く貨物列車が待ち、電車も全て茶色(用語的にはブドウ色)。さらには軍服姿のアメリカ人もいる。そう。戦後直後の日本だった。昭和二十五年頃のそんな風景だった。
ガクンと列車は動き出した。グォォォォンという轟音とガタガタとした揺れに振り回される。その1揺れごとに忘れて行く。スマホ、インターネット、パソコン、カラーテレビ、そしてまだ生まれていない母のことも。
彼女は昭和に愛されていた。添い遂げてほしいと望んだ時代は、彼女を引き込んでしまった。戸籍も、学校そのものもあやふやな観測者原理の闇の巣食う時期に。
あなたもご注意を。駅で見知らぬ車両が来たら、乗らないように。
ホーム上で携帯電話を操作しながら歩くことは止めましょう。知らない時代、世界に連れていかれるかも知れません。
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